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好調な訪日消費のウラ側 日本3割引キャンペーン効果

今年のゴールデンウイークは新型コロナウイルス感染症の5類移行直前とは言え、行動制限がなくなったことで各地の観光地では集客や売上に対する事前期待が高かったと思います。連休中の人流については、携帯電話会社や金融系シンクタンクなどからGPSや施設調査の結果が発表され始めました。ミクロ的に見れば地域間に差はあるものの、全国的な動きに関しては大方の予想に反してコロナ禍前の数値には届いていません。

連休中の移動需要が期待されていた公共交通機関の利用実績は、新幹線と在来線特急などの主要路線区の利用人数は前年比で1・32倍になったものの、全体の利用者数は小幅ではありますが減少しています。主要なカテゴリーとしては、テーマパークとホテルは前年とほぼ同程度を維持しました。ショッピングセンターと家電量販店は前年の水準を下回っています。連休中であったとしても急激なインフレで実質賃金が目減りしたことが影響して消費全体の弱さが露呈したと言えます。

一方で、インバウンド需要は好調です。訪日外国人観光客数は、3月の時点でコロナ前の水準の約3分の2まで戻っていました。コロナ前の2019年には国別で最多訪日者数959万人を占めていた中国人旅行客が本格的に復活していないことを差し引いても、訪日総数は急速に回復しています。

消費総額については、2019年と2023年の1―3月を比較(19年1兆1517億円、23年1兆146億円)すると約9割まで回復しています。一人当たりの訪日外国人旅行支出額が21万2千円に達したことで政府が2025年度までの目標としていた20万円をすでに超えました。

ただし、コロナ禍前と比べるとドルもユーロも約25%は円に対して価値が上がっています。しかも欧米諸国はコロナ禍において約10%の高インフレを経験しています…

(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)

(トラベルニュースat 2023年5月25日号)

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