世界水準の国立公園化 ワンストップ窓口で地方旅行社に商機
先月19日に開催された「観光立国推進閣僚会議」における岸田首相の発言の一部が話題になっています。
その内容とは、訪日外国人旅行者の地方滞在を推進するために全国35カ所すべての国立公園に高級ホテルを誘致するというものです。この発言に対して瞬く間にネット上では火が付き、岸田首相を海外に国土を売り渡す売国奴であるとする非難の書き込みもありました。実際、岸田首相が関係閣僚に指示したのは、国立公園の制度が始まってから100年となる2031年までに「世界水準のナショナルパーク化を実現すべく、民間活用による魅力向上事業を実施してください」であり、その推進施策の一つが「国立公園のすべてに高級ホテルを誘致する」だったのです。
もちろん、外資系の新しい宿泊施設が建設されただけで、世界水準のナショナルパーク化が実現するわけではありません。重要なのは、国立公園が持つ個性と地域性を活かした受入環境の質と魅力を高めることです。
施策の柱として、宿泊施設を中心とした整備をするのであれば、外資系よりも日本の宿泊事業者に対する支援が優先されるべきです。なぜならば、地元の価値を理解した事業者が関わった上質な宿泊施設でなければ、日本らしさや地域らしさを見失うことにもなりかねません。海外ブランドの新しいホテル建設が必要な場合もあるとは思いますが、ターゲット層によってはホテル・旅館以外にも古民家や空き家を活用することで地域特性を活かした宿泊施設の整備も必要になります…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2024年8月25日号)
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