オンラインツアーに活路 京都・ウイニングトラベルサービス常田学社長に聞く(1) 「京都の今」シリーズツアー化
インバウンドを含めて観光客でごった返していた京都は今、本来の落ち着いたたたずまいに戻っている。そんな京都を「映像に残しておくのは今しかない」と、京都市西京区のウイニングトラベルサービス(常田学社長)がコロナ禍の2020年4月から取り組む映像配信「京都の今」。その取り組みはオンラインツアーに発展、先駆的にオンラインツアーを仕掛ける常田社長に話を聞いた。
今だからこそ「本来の京都の姿」を 集客に苦労も
−改めてオンラインツアーを始めた動機を教えてください。
昨年4月、コロナ禍に見舞われた京都市内の観光地を見たとき、あまりにも人がいなくて驚いたと同時に、静かな京都のすばらしさを実感しました。こんな魅力的な京都を映像として記録し、多くの人に本来の京都の姿を知っていただこうと、フェイスブックを使って「京都の今」をライブで無料発信し始めました。当初10人ぐらいだったのですが、視聴いただく方がどんどん増えていき、半年ほどで1千人を超えました。
そこで、静かな京都を感じていただく京都市内のオンラインツアーを「バスガイドと歩く」というコンセプトで行うことにしました。
−これまで、どのようなツアーを造成してこられましたか。
清水地区のバスガイドツアーを7月に始めたのを皮切りに、8月には京都西山地区のバスガイドツアー、今年4月には錦市場と新京極散策オンラインツアーを実施しました。5月に入ってからは、知恩院門前から祇園白川地区までのバスガイドツアー、宝泉院と勝林院住職による案内オンラインツアー、泉涌寺から東福寺にかけてのオンラインガイドツアー、大原花祭り後の法要−巫女舞−今様の儀式を勝林院からオンライン配信しました。
また16日には、初めての海外旅行バージョンとして、京都市内の旅行会社5社が協力してソウルオンラインツアーを実施しました。
−ツアーにはどれくらいの人数が参加し、どんな客層なのですか。
最初に実施した清水地区バスガイドツアーが最も売れました。オンラインツアーだけでなくリアル参加もOKで、15人が参加されました。ただ、先日行ったソウルのツアーは初めての海外でありながら24人にご参加いただき、驚きました。
ツアー参加数の平均は10人で、京都市内はほとんど中高年の男性です。京都のオンラインツアーに男性が多いのは、京都の寺院ファンは基本的に男性が多いということだと思います。
オンラインという非現実的なものにお金を使うマーケットは、男性だと捉えています。女性は現実的なものにお金を使う傾向にありますから。ソウルだけはほとんどが女性でしたが。
−もっとも苦労されていることは、どういったことでしょう。
やはり集客ですね。お客様自身がオンラインツアーを見ることのできる環境下にないということが、一番の要因だと思います。ツアーではZOOMを使いますが、場合によっては音声が届かない場合があります。ZOOMは基本的には会議ソフトなので、動き回るツアーのライブ配信には不向きです。
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