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プロの料理人 「味」以外の部分が重要

私は料理人による「天地の会」を結成し、会長を務めさせていただいております。全国の旅館ホテルに料理長、料理人がお世話になっており、献立やイベントの相談などを受けております。季節ごとに献立は変えていかなければいけませんし、その旅館の経営状態によっても原価率との戦いもあり、どこの料理長も頭を悩ませる毎日です。

このコロナ禍、「健康」に関心を持つ人々も以前より増え、食事へのこだわりも増えてきました。料理や健康に関する本や雑誌の特集も多く見受けられます。その中には「おうちで簡単」「ひと手間でプロの味」など、ありがたいキャッチフレーズが書かれていますね。

最近本当によく感じますが、どの料理もしっかりとしたレシピがあって、その通りに計量し調理すれば料理初心者でも案外美味しくできるものです。例えばロボットが作っても、プログラミングさえしっかりしておけば、美味しく仕上げてくれるのです。

ただ、そうすると「プロの料理人の意味は?」となるのです。

和食料理人は伝統も重んじつつ、次の世代へと技術をつないでいくものですが、ただ美味しく仕上げるだけでは、もう生き残っていけないのではないでしょうか。ロボットや素人ではできないような技を身につけ、披露できてこそ「料理人」としての価値が付くのだと感じます。

料理の盛り付け方、彩り、包丁技術、懐石での器の流れ。料理人の感性と経験で、努力をした年月で培われていく「味」以外の部分もいかに重要かということです。もちろん、以前にも書かせていただいた料理のパフォーマンスや話術も、必要なことのひとつです。

昔はどの料理人も自分のノートを持ち、先輩の技を盗みながら夜な夜な包丁を握って技術を磨いたものです…

(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)

(トラベルニュースat 2022年9月10日号)

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