石和温泉と新入社員 食事空間づくりは全体の務め
先日は、石和温泉にお邪魔してまいりました。
有馬温泉のように旅館ホテルが寄せ集まっているというより、街の中に旅館やお店が点在しており、ゆったりとした雰囲気が温泉街全体に感じられる温泉地です。
そのなかで社長と次世代を担う専務が、しっかりとした展望を持っておられる素敵な旅館「糸柳」様を見学させていただきました。自身の旅館の強みをしっかりと認識し、それを生かした建物・設備を用意し、さらに料理も強みにしていきたいという思いを直に聞かせていただくことができ、とても貴重な時間となりました。
たしかに、何度も利用してくださるリピーターのお客様が、その旅館に惹きつけられるものの一つに「料理」と言われる方が圧倒的に多いと聞きます。「また食べたくなる味」「次が楽しみになる味」を用意することは料理長の務めですが、落ち着いた空間で気持ちの良い接客のもと、楽しい「食事の空間」を創り上げるのは、その旅館全体の務めです。これには従業員一人ひとりの力が必要です。
4月には新入社員が入ってきたところも多いのではないでしょうか。社会人経験を積んだ転職組もいれば、3月まで学生だった社会人一年生組もいるでしょう。これまでとは違うコミュニティの中で経験を積んできた人が新しい場所と新しい仲間の中で人間関係をつくり仕事を覚えていくわけですから、先輩たちはその手助けをしていかなければなりません。
昨今は昔と比べてコミュニケーションの取り方も変わり、職場でのつながりも浅くなったところが多いように感じます。休日・労働時間に対する規定の見直しなどもあり「仕事」に対する個々の考え方も変わってきました…
(大田忠道=料理人集団「天地の会」代表)
(トラベルニュースat 2024年5月10日号)
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