宿泊客専用ラウンジ 施設の有効利用と付加価値を高める
新型コロナも「アフターコロナ」までの道のりはまだまだ先のようで、「ウイズコロナ」の時期に入ってきたようだ。まん延防止重点措置が解除され、京阪神の街はいつも同じ賑わいを取り戻しつつある。とはいえ、まだまだ扉を閉じているお店も多いことだが…。
ホテルも少しずつ動きだしている。とりわけ京阪神地区は2022―25年あたりでの新規開業が相次いでいる。毎日どこかで開業しているような状況だ。
新規開業となれば、気になるのが既存ホテル。どうしても新たなホテルの新規性や斬新性、利便性にかなわない。まさにホテルサービスは日進月歩である。
そこで、既存ホテルにおいて特徴的な動きといえるのが「宿泊客専用ラウンジ」である。多くが既存の飲食施設スペースを改装し、施設の有効利用と付加価値を高めるという両面での効果をにらんでいるようだ。
京都駅ビル内にある「ホテルグランヴィア京都」は、既存ラウンジをもっともロケーションの良いホテル15階のレストラン跡地に移転。約2・5倍の広さに拡張し、新生「グランヴィアラウンジ」として昨年10月1日にオープンした。ラウンジの扉には伝統の絹織物を2枚のガラスにはめ込み、ぼかし染の濃淡が特別な空間への期待感を募らせる。そして扉が開くと古都の町並みが眼前に広がるというニクイ演出なのである。
加えて、佐藤伸二総支配人が元総料理長ということもあり、「飲む」「食べる」への力の入れ方は並々ではない。目の前でシェフが焼き上げる卵料理をはじめとする朝食、パティシェによるアフタヌーンティースイーツ、カクテルアワーのオードブルなど、総料理長監修のメニューを提供する。「飲む」はチーフバーテンダーが監修。バーテンダーが本格的カクテルを作り、シャンパンやワインなどの専用ディスペンサーを設置し、セルフサービスで楽しめる。そしてサービス面ではコンシェルジュが常駐と、言うことなし、である。
同日、大阪市の「帝国ホテル大阪」も新宿泊者ラウンジ「インぺリアフロア ラウンジ」をオープン。ホテル23階にあった飲食施設に一部手を入れて、高級客室の宿泊客専用ラウンジとした。ロケーションは抜群で、プレートメニューをはじめ、生ビールやワインなど豊富なドリンクを無料で提供する。600誌以上の電子雑誌を読める専用タブレットも用意している。
これに先立ち、昨年7月に海に面したレストラン跡地に「エグゼクティブラウンジ」を設置したのが「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」…
(井村日登美=ホテルジャーナリスト)
(トラベルニュースat 2022年4月25日号)
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