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「一石何鳥」にもなる 野沢温泉常盤屋旅館(長野県)

2021年4月8日(金) 昨年秋にも泊まった常盤屋旅館ですが、短期間に様々な点が進化していました。中でも今年2月から一新した料理が印象的。お箸で食べる洋食自体は珍しくありませんが、魚料理3品と肉料理2品という驚愕のボリュームで、味わいも極上です。

なぜか御飯が出ずに、小さな野沢菜の「おやき」が食べ放題。フランス料理でもパンが食べ放題なので、その代替品だと推測。改めて考えれば、御飯と味噌汁とお新香はなくてもまったく問題ありません。

しかし、当然あるべき食事を廃止してしまうとは、潔い決断に感銘を受けました。

同様に普通の宿なら絶対にある、客室のポットがなくなっていたのも衝撃的でした。テレビ横にあるワゴン上にはコーヒーメーカーが置かれ、ポット用の丸い穴には天然水のペットボトルが鎮座。お茶とコーヒーのカプセルも人数分あり、自由に楽しめます。翌朝にはロビーでモーニングコーヒーを無料配布しますし、滞在中はなにかと忙しく、結局使いませんでしたが、コーヒーメーカーがあるだけで客室がグレードアップした気分でした。

私は普段から宿に到着するとすぐに電気ポットのコンセントを抜いてスマホやデジカメを充電します。飲まないお茶のためのお湯を常時保温するのは無駄なので。とはいえ、私が電気ポットを使わなくても、チェックアウト後に清掃係員はそのお湯を捨て、水を入れ替える手間がかかります。

その点コーヒーメーカーなら使用された時だけ洗えば良く、通電も使用時のみで電気代もわずか。私のように使わなかった人の後は、清掃係は何もしなくて大丈夫。これほどエコなことが、ほかにあるでしょうか? しかも、置いておくだけで客室アップグレードの雰囲気まで醸し出せるのですから「一石何鳥」にもなるわけです。

このように、本当に意味のあるサービスとは何かを徹底的に熟慮して既存の慣習や価値観を打破していく…

(藤田聡=温泉研究家)

(トラベルニュースat 2021年5月25日号)

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