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グランピングはコト消費 こしかの温泉(鹿児島県)

2020年9月30日(水) グランピングは高級宿並みの料金相場で、キャンプの一種にしては高過ぎますが、流行の理由を探るべく初体験しました。

結論から言って、最大の魅力はインスタ映えするシーンが滞在中に満載なこと。特に料理が絵になるので、オシャレな食器を選んで盛り付けも頑張り、見栄えを一層良くしたいとの意欲が自然に湧いてきます。普通の宿に泊まっても、こうした意欲は出ないので、早くも独自の価値を実感。

備え付けの調味料ボトルやインテリア雑貨も絵になる物が厳選されており、それらを周囲に並べて背景を整え、手前に料理を置くだけで、まるで雑誌のグラビアが完成。妻は写真コンテストで、見事入賞していました。

第2の魅力は、絵になる料理が簡単に作れること。サラダとローストビーフを食器に盛り付け、パエリアと豚汁を温め直し、肉と海鮮のバーベキューを自分で焼けば完成です。しかも、食後の食器も流し台に置くだけ。普通のキャンプは準備や後片付けが大変ですが、そこは全部宿にまかせて省略可能。楽しい部分だけを切り出して味わうのは、初めての感覚で最高の気分です。

第3の魅力は最新家電の見本市のように、豊富にそろった調理器具を試せること。大型バーベキューコンロは、テレビ番組で見た芸能人の家にあった物と同型。朝食で作るホットサンドは、単なる温かいサンドイッチなのに猛烈に旨くて目から鱗。ホットサンドメーカーを買いたくなりました。見たこともない調理器具類に何度も感激し、海外旅行のような異文化を体験しました。

モノ消費からコト消費へ時代が転換する中、グランピングはまさに異文化体験でコト消費そのもの。新しい価値観に直面する衝撃が何度もあり、宿泊から一年近く経過した今でも、その意義や意味合いを夫婦で語り合う程に味わい深く含蓄が豊かです。

温泉宿も本来は日本文化体験の場ですが、実際には想像の範囲内で滞在が進むのが実情。しかも、部屋や料理などモノの魅力を差別化の根幹にするなら、事実上モノ消費と何も変わりません。

一方のグランピングは子どものころに両親と行ったキャンプと同様の生涯忘れ得ぬ体験でした。子どもにとってのキャンプは、何年でも語り草にできる夢のような世界。翌夏も当然行くと思っていましたが、両親が大変だと言って実現しなかったことがあります…

(藤田聡=温泉研究家)

(トラベルニュースat 2021年8月25日号)

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