県外ナンバーが怖い コロナ時代の旅行事始め
2020年5月29日(金) 新しい生活様式が、すでに無意識に刷り込まれているのを実感する今日このごろ。コロナ前に収録されたテレビドラマを見ても、役者が至近距離でセリフを交わす様子に「密だ」「有り得ない」と思ってしまう自分がいます。
もはや新常識の中で生きているのであり、まさにwithコロナ時代なのです。緊急事態宣言が解除され本来ならすぐにでも、温泉で自粛疲れのストレスを癒やしたい気分。東京周辺と他地域の移動は6月18日まで慎重にとのことですが、夏に向けた旅行の計画をようやく開始できます。
三密回避のためにも交通手段は自動車ですが、心配なのが車のナンバー。役者間の距離すら気になる時代ですから、宿に県外ナンバーが駐車してあれば地元民の反感が容易に推察されます。さらには心の中に芽生えた抗議の気持ちで無意識に手が動き、車にイタズラされる不安も。自粛警察と呼ばれる同調圧力はコロナに有効な側面もありますが空気を読む日本人の美徳が観光振興では最大の敵になりそうです。
極論すれば、旅行者は経済の病を回復させる医療従事者のようなもの。海外では医療従事者に拍手を送る美しい運動がありますが、同様に県外からの観光客へ自発的なエールを送る取り組みが必要不可欠と思います。県外ナンバーを見て「地元に金を落とすありがたい人」と思ってもらえない限り、心の底から安心した旅行はできません…
(藤田聡=温泉研究家)
(トラベルニュースat 2020年6月25日号)
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