豪雨被災地を旅で応援(1) 三洋航空サービス・現地ツアーで1千人送客目指す
中国四国地方を中心に大きな被害をもたらした「平成30年7月豪雨」から、まもなく2カ月。被災した地域の観光業は大きな影響を受け、観光の復興はまだまだ途上だ。そんな中、国や公的機関は風評被害を払しょくし被災地域の旅行需要を喚起する支援策を設けているが、民間事業者も観光による被災地支援に取り組み始めている。たとえ即効性はなくても、被災地を応援する力が観光にはある。
収益は全額を寄付
兵庫県神戸市の三洋航空サービス(中塚裕博社長)は8月、西日本豪雨災害の復興応援企画として「西日本復興応援ツアー」を設定した。募集型企画旅行と受注型企画旅行の2本立て。ツアーによる収益は被災地復興支援金として日本赤十字社を通して全額寄付する。
募集型の復興応援ツアーは「復興応援 岡山・鳥取バスツアー」と題して9月15―16日に実施する。カリスマ添乗員として知られる平田進也さんが添乗する。大阪、神戸発で倉敷美観地区を自由散策し、皆生温泉・皆生つるやに宿泊。翌日は境港市の水木しげるロードを見学し、大漁市場なかうらやお菓子の壽城に立ち寄る。料金は2万9800円から。
受注型は8月20日―10月31日の期間に設定し、8人以上から貸切バスを用意。大阪府と兵庫県全域の希望箇所で発着する。皆生温泉、香川県こんぴら温泉郷、岐阜県下呂温泉の宿泊施設が対象。旅行代金は1人2万900円から。
このほか広島県宮島、岡山県湯郷温泉、愛媛県道後温泉などを利用する個人旅行プランなども用意している。
ツアー募集は読売や朝日、産経、毎日、日本経済新聞など全国紙のほか神戸新聞に告知。1千人を送客目標にして取り組んでいる。
中塚社長は「阪神・淡路大震災の時、全国からご支援をいただいた神戸の旅行会社として、今回の西日本豪雨災害で何ができるだろうと考えました。その結論が『送客こそ支援』でした。10月末までの短期決戦ですが、目標に向けて社員が一丸となって結果を出したい」と話している。
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