自治体で広がる観光自主財源 日本交通公社刊「旅行年報2018」を読み込む(1) 国内旅行、高速バスが順調
公益財団法人日本交通公社はこのほど、旅行年報2018(A4判224ページ)を発刊した。観光庁をはじめとする各種統計資料に同公社独自の調査を加え、直近の旅行・観光市場の動向をまとめている。短期のトレンドに加え、長期にわたって比較のできる指標が充実していることで、例えば1%程度の目立たない増減も観光の局面として捉え、解説を加えているのが特徴。国や地方自治体の観光政策についても章を設けている。
1%の増減を観光面から捉え解説
旅行年報では(1)旅行市場(2)訪日旅行者(3)観光産業(4)観光地と観光政策の概観―など、テーマ別に17年の旅行動向を中心に紹介している。17年の日本人旅行者は、国内宿泊旅行者が3億2333万人(前年比0.7%減)で、このうち観光・レクリエーションは1億7862万人(同1.1%増)。帰省や出張の宿泊が前年を下回った中で、観光に伴う宿泊はわずかだが上昇した。
訪日外国人の動向では、訪日客数や客層の変化、海外市場別の訪日旅行動向に加え世界観光機関の資料を基に年間の各国民1人当たりの国際旅行支出を比較している。
国別で年間の国際観光支出が最も多いは中国で2577億ドル。世界全体の約2割を占め、国際観光への貢献度は群を抜き、2位米国1350億ドル、3位ドイツ837億ドルが続く。一方で、国際観光支出を国民1人当たりで見ると、香港3430ドルが突出し、オーストラリア、英国、ドイツが1千ドル超と高い。中国は国民1人当たりでは185ドルと低いが、日本はさらに少ない145ドルだと、国際観光市場での日本の現状を指摘する。
旅行産業の動きでは、主要旅行業者の取扱額が海外旅行、国内旅行、訪日旅行の3部門で前年を上回った。訪日旅行のシェアは6%だった。運輸業はLCCがけん引する航空、アジアを中心としてクルーズが好調だったほか、高速バスの輸送人員も同5・3%増と順調に推移した。
(トラベルニュースat 19年1月25日号)
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