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コロナから「アレ」へ 紙面から選ぶ2023年観光番付(2) 不正問題、人手不足が露呈

信頼あっての観光業

 大関は?

 残念だけど、旅行会社の不正問題が相次いだことに触れないわけにはいかない。

 大手旅行会社のコロナ関連業務の受託で過大請求は本当に残念なニュースだった。コロナ禍で窮地に立たされた大手旅行会社にとって、利益率も高いし、自治体の受託事業はブルーオーシャンだったはず…。企業のコンプライアンスや社会的責任(CSR)を無下にすることは許されないことが赤裸々になった。

 青森県で大手旅行会社が談合していたというニュースもあったし、宿泊施設へOTAの支払いが遅延する事態も起こった。やっぱりリアルエージェントがいいという旅館関係者もいた。消費者にもリアルな旅行会社の信頼性を高めたかったのだけど。

 OTA経由で旅館ホテルの偽サイトに誘導するという事案もあった。クレジットカードの情報を抜いて、客が宿につくと予約がされていなかったり、そもそも宿が該当の場所になかったなんていう話も聞いた。

 不正問題は大手旅行会社やOTAにとどまらず、雇用調整助成金の不正受給は旅館ホテルや中小旅行会社でも摘発が相次いだ。

 いずれも犯罪的な行為だったことは否めないけど、政府のコロナ禍の支援策が業種によって偏りがあったようにも思う。団体旅行のインフラだった貸切バスやドライブインなどが置き去りにされてしまい、飲食を提供していたのに飲食業の支援を受けられず廃業したドライブインは少なくない。その影響は、コロナ後の団体旅行復活の足かせになっている。

 団体、個人旅行を問わず、コロナ禍で拍車がかかった観光業界の人手不足は国内旅行V字回復に水を差す。

 お客さんはいるのにスタッフが足りないから、稼働率を抑えざるを得ないという旅館ホテルの声も聞いたし、仲居さんが足らないので宴会を受けられないという話も聞いたよ。

 旅行会社からも、せっかく久々に団体から申し込みがきたけど昼食を受けてくれる施設がない、なんていう話もあった。外国人の技能実習生を雇用も広がり、人手不足の対応は喫緊の課題だろう。

 バス会社の運転手不足も深刻だ。車両はあるけど、運転手がいないから稼働できず、特にこの秋は貸切バスをめぐって狂騒曲が鳴り響く事態だった。普通2種で運転できるジャンボタクシーで団体旅行をやり繰りした旅行会社もあった。特にバス不足が深刻な北海道や沖縄に本州からバスを持っていったという事例も聞いた。

(トラベルニュースat 2023年12月10日号)

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