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ペットホスピタリティの宿 暖灯館きくのや

今や空前のペットブーム。全国津々浦々にペットと一緒に泊まれる宿が増えてきた。この“一緒”というのが、宿を見極めるポイントである。

というのも“一緒”をどのようにとらえるのか、で随分違う。ペットと一緒に部屋に宿泊できる“一緒”なのか。宿まで一緒に行くが、宿泊は別々なのか。なかには近所のペットホテルと提携し、ペットはそこに預け、飼い主はホテルに宿泊する。ペットにとっては、宿に付帯したペットホテルであろうと、提携してペットホテルであろうと、飼い主と別々になることには変わりはない。

前置きが長くなったが、『ペットと一緒に泊まれる宿』とは、その言葉の通り『ペットと同じ部屋に宿泊できる宿』ではなかろうか。

大阪から車で約1時間。琵琶湖畔のおごと温泉にある老舗旅館「暖灯館きくのや」(滋賀県大津市)。「料理」と「サービス」をモットーとした旅館で、約20年前から『ペットと泊まれる宿』として、ワンちゃんを受け入れるようになった。ワンちゃんと同じ部屋に宿泊できる、まさに愛犬家にとって理想的な旅館である。今では愛犬家のなかでは知らない人がいないほどの超有名旅館。この20年間に延べ約45回宿泊したという常連客もいるという。

同館は最近客室をリニューアルし、露天風呂付きの客室を増設。広さ約70平方メートルという広々とした和洋室で、窓からは琵琶湖の自然が楽しめるというぜいたくさ。床はペットが爪でひっかいても傷がつかず、撥水性があり汚れがつきにくい最新の畳を敷き、部屋の間仕切りもできるだけ排除し、超開放的な空間を創造。同旅館にはドッグランはないけれど、部屋の中で十分運動できるほどの広さなのである。

ワンちゃん用のサークルやマット、エサの容器、消臭剤、ペットシート、専用ダストボックスなどを備える。粗相した場合には、清掃連絡シートに部屋のどの部分を汚したのかを連絡してもらう仕組みだ。

また露天風呂は広く、しかも天然温泉を引き込んだ。ペット用の信楽焼きの陶器風呂も用意し、専用バスタオルも完備している。食事はペットも飼い主も部屋食。新客室にはダイニングスペースと給仕口を設け、客動線とサービス動線を別にし、効率化を図った。

ペット同伴の客室は一般客室とフロア分けをし、パブリックスペースではペットはゲージに入れるか、専用のカートで移動し、床に直接歩かせることはない。

こうしたハードに加え、ソフト面も充実させている。

予約時にペットの名前を尋ね、チェックイン時からペットを名前で呼んでお出迎え。そして、ペット用菓子とバンダナのプレゼントというウエルカムサービスを提供する。早速バンダナを身に付けて写真撮影し、インスタグラムに投稿する宿泊客の多いこと。これもまたPRにつながっていく…

(井村日登美=ホテルジャーナリスト)

(トラベルニュースat 2022年3月25日号)

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