オランダのスーパー 支持集める「おしゃべりレジ」
現代社会におけるサービス価値の一つとして、「提供スピード」があります。その中でも注文後の待ち時間が短く、手早く食べられる「fast food=ファストフード」は、海外のフードチェーンから普及したハンバーガーやフライドチキン、ピザだけでなく、回転寿司やタコ焼きなど日本でも食文化として日常生活に定着しています。
最近はスーパーマーケットやコンビニエンスストアがセルフレジを増やしたことでレジの混雑が解消され、会計時の時間の節約ができるようになりました。また、人的接触がなくなることで新型コロナの感染対策にもなり、人員不足の解消もできることから全国各地でセルフレジの設置が急増しているのです。
欧州でもセルフレジの導入店舗は増えていますが、一方でオランダとベルギーを中心に展開している老舗スーパーマーケットチェーンの「JUMBO=ジャンボ」は会計時の「ゆっくりサービス」が大きな話題になっています。そのサービスとは、セルフレジのファストレーンとは真逆の「Kletskassas=おしゃべりレジ」と言うスローレーンの設置です。お客様がレジ係とゆっくりおしゃべりすることができるため、普段あまり話し相手がいない独居老人などから絶大な支持を集めています。現在はおしゃべりレジだけでなく、のんびりとお茶を楽しめるテーブルも設置され、市民団体のボランティアが話し相手を務めています。
最近、日本の飲食店ではタッチパネルやタブレット、スマホによるセルフオーダー方法を採用するところが増えています。注文時の煩わしさから解放されたと言う人もいますが、どちらかと言えばスタッフとの会話がなくなりサービスに味気なさを感じている人の方が多いかもしれません。セルフレジやセルフオーダーによるサービスのスピードアップはお客様と店舗のどちらにもメリットがあるのは確かです…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2023年1月25日号)
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