抗わず、やり過ごす 緊急提言・新型コロナウイルス禍、観光業界が今できること(2) 「次回半額」で集客する宿も
逆境にくじけず前を向く
―今世の中が過剰反応というか、ムードに流され過ぎるきらいがあるから、まずは風潮を変えるのは大事。具体的な話は聞いていないか。
A 大手旅館チェーンは3月末までに宿泊すると、次回半額で泊まれるクーポンを発行している。毎日8割の客室に灯りがついているそうだ。HPで予約状況をみるとほぼ満室だった。それを知ったある旅館は同様な取り組みを始めて、集客に努めると言っていた。
C インバウンドで100%近い稼働だったホテルは今、稼働が2桁に届くかどうかの状況だそう。ホテルスタッフは観光施設もスポーツ大会も休止されている中、来てくれる宿泊客に、なにを楽しんでもらい、どう感謝の気持ちを示したらいか、に腐心しているという話を聞いた。こんな状況下、どうおもてなしできるのかが問われている。
B ある旅館の社長。客足がさっぱりで元気をなくしている姿を見た娘からラブレター。「パパがんばれ まけるなしゃちょう しごとがんばれ」。ざわついている親の心を娘に見透かされて奮起したとか。
―いい話だ。
A ある温泉地では、コロナビールとカツカレーをセットにして販売を始めた温泉街の食堂がある。メニュー名は「コロナに勝つ!」。温泉地への支援と思って作ったメニューだとか。
―国の支援もあるが。
B セーフティネットや助成金などもあるけど、知り合いの経営者は借金が増えるだけ、と利用に否定的だった。国には、収束となった時に家計の支出意欲が戻ってくる施策を期待したい。
C 視点を将来に移してみるのもいい。やがてコロナは去り、地震や津波と違い、道路も鉄道も空港、家も学校も残り、旅行者も必ず戻る。その時に何ができるか、するのか。来年の今ごろ、去年は大変だったと、居酒屋で酷かった自慢をし合っているといいな。
(トラベルニュースat 20年3月10日号)
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