人材不足に「育て方改革」
旅館の人手不足が深刻になっています。人が足りなくて部屋を埋められないという話はもう日常茶飯事。自ら求人サイトを立ち上げたり、人材派遣会社と提携したりと、工夫に余念がありません。そうしたサイトを訪問すると昨今の風潮を意識して、残業ほぼなし、定休日あり、就職祝い金10万円進呈、と何とか人手を確保したいという思いが表れています。
しかし、若い人材を送り出す側にいると、ものすごい危機感を感じるのです。ここまでして獲得した人手にちゃんとした人材がいるのだろうかと。
ひと言で言うと、仕事を「ライフワーク」と思っている、あるいはしようと考えている人材は少なく、ほとんどが稼ぐ手段としての「ライスワーク」としか考えていないからです。目標もなく、今の仕事が特に好きでもなく、誇りもなく、ただ何となく働いているからこそ、残業とか住宅とか、そんな「自分の労働環境」のことばかり考えてしまう人材しか生まれていない国、それが日本のような気がします。かといって、手に職がついていないし、人脈も情報もないので辞めるに辞められない。そうした丸腰の人材ばかりを生んできた社会に問題があるような気がするのです…
(井門隆夫=井門観光研究所代表取締役)
(トラベルニュースat 2017年11月25日号)
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