30~40代が還流する場づくりを
大手企業がこぞって賃上げに動いています。初任給も続々上がり、ユニクロやセガサミーなどは30万円です。これまで貯めていた内部留保をここぞとばかりにはきだし始めたのも人手不足が常態化しているからに他なりませんが、こうした動きに地方の中小企業が太刀打ちするのは容易ではありません。おそらく一層、地方出身の10―20代が生産性の高い都市に向かうのは間違いなく、地方の中小企業は人材確保の方法を抜本的に考え直す必要があります。
しかし、悲観することはありません。例えば東京都で転入超過が突出しているのは、15―24代だけ。残りの世代はすべて減少しており、特に30―44歳と4歳未満は流出が目立ちます。すなわち、初任給に釣られ都会に出ていきますが、将来を見据えた時、自らや家族の成長を地方に見出すようになるわけです。そのため地方がやるべき観光政策とは、いかに30―40代が還流したくなる場づくりをするかということです。
地方を歩いていると元気なまちに共通することがあります。30―40代のUIターンの多さと女性が活躍している点。そうしたまちには必ずまち中にサウナが誕生しています。
廃業したスナック兼用住宅を改装し、サウナ兼ギャラリー兼スナック「時津風」が生まれた島根県温泉津温泉もその典型です。午前中使わないスナックを借りて、モーニングを始めたのは東京から来た飯塚優莉菜さん。2年前まで学生でしたが温泉津にIターンしてきました…
(井門隆夫=國學院大學観光まちづくり学部教授)
(トラベルニュースat 2023年3月25日号)
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