全国旅行支援 制度不備でも良き前例を示そう
今月11日にスタートした観光需要喚起策「全国旅行支援」と入国時における水際対策の大幅な緩和によるインバウンド解禁は各地各所に様々なカタチで影響を与えています。
特に全国旅行支援は前回のGo Toトラベルのような全国一律の制度にはならなかったため、都道府県単位の制度の違いや詳細が明らかになるタイミングが違ったこともあり、今回はルールが複雑化しています。このような状況下で旅行業界や事業者は手探り状態で準備を進めなくてはならず、運用開始前からすでに現場では混乱が起きていました。
しかも販売開始とともに予約が一気に殺到し、OTAを中心に予約サイトにアクセスができなくなる事態にもなりました。宿泊施設でも大量の予約と変更が重なったことでシステムがダウンしたところが続出しています。また、地方の旅行会社でも顧客からの大量の問い合わせにスタッフが忙殺されました。
課題が多い全国旅行支援ではありますが、新型コロナウイルス禍で大きな打撃を受けた事業者にとってありがたい施策であることに変わりはありません。
これまでGo Toトラベルや県民割が実施された時も少なからず混乱があり、その都度対応も経験してきました。どこの事業者もある程度のトラブルは織り込み済みで今回の制度を引き受けていると思います。今回もチャンスを活かすかどうかは事業者次第であることは明らかです。何もせずに動かなければ恩恵を受けることはできません。もちろん、今回の適用を受けていない旅行会社や事業者を非難しているわけではありません。
ただし、今回の制度に多少の不備があったとしても、業界や事業者が積極的に取り組む姿勢を見せることはとても大事だと考えます。なぜなら…
(山田桂一郎=まちづくり観光研究所主席研究員)
(トラベルニュースat 2022年10月25日号)
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